tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値分析の効用

2016年01月10日 09時52分36秒 | 経済
付加価値分析の効用
 付加価値というのは、一国経済やそれぞれの企業が1年間に生み出した経済価値で、その国の国民や、その企業の株主や従業員が、自分たちが生み出した付加価値を分け合ってその年の生活をするというものです。

 マクロ経済(国全体の経済)としてはこれがはっきりしていて、付加価値(GDP=国レベルの粗付加価)が経済成長や豊かさの基準として活用されます。
 しかし企業では、通常、売上高、利益が成長の指標で、最近では時価総額が企業価値と言われたりします。

 しかし企業の従業員は売上高や利益で生活するのではありません。まして時価総額が増えたからと言って賃金が上がる(上げられる)ものでもありません。
 賃金や利益という従業員や企業の生存・存続を支える原資は付加価値です。付加価値を人件費と利益で分け合って、従業員は家計をより豊かにし、企業は技術開発や投資をし、競争に勝って成長していくのです。

 しかも、大事なことは、この「付加価値を人件費と利益に分ける」という分け方が、企業の発展を左右する基本条件になるということなのです。
 これは、国民経済や企業経営における「分配と成長の関係」という形での実証分析や研究で、次第に明らかになっていることです。

 最近安倍総理も、新3本の矢に関連して、「成長と分配の好循環」の実現を目指すといっていますが、言葉は曖昧です。具体的には「分配を適切なものにすることによって、成長も積極的に進める」というという意味なのでしょう。明確な表現が必要です。

 企業でもこの問題は、長い論争の歴史を持ちます。いわゆる「労働分配率」論議です。分配が利益に偏るとストが起き、賃金(労働)に偏ると企業が成長しなくなる。真理は中間にあり。となるわけですが、さて中間のどの辺りか…。これが分配論争です。

 ということは、適切な分配が、「望ましい成長の前提」になるという関係が成り立つわけで、企業にとってはこの分析が最も大事になります。

 付加価値分析は、こういった点で、企業労使(経営者と従業員)が、成長(これによって賃金も上昇する)を目指しつつ 分配の在り方を検討する、という企業経営の核心の検討に役立つのが特徴です。

 繰り返しますが、売上高と利益、時価総額では、こうした分析はできません。付加価値分析の結果が、企業の成長の可能性を示し、その実現が売上高や利益、時価総額の向上につながっていくというのが順序でしょう。
 ということで、やはり 付加価値に注目しましょう。


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